RETRO少年の懐古録

ミステリー、ホラー、サイエンス、サスペンス、SF、怖い話……

【怖い話】謎の部屋、再び……

 

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これも、昔の話である。

 

 僕の生家は、古びた日本家屋だが、

その中には、その外装に似つかわしくない、洒落た西洋風の応接間がある。

 

昔、応接間に関する夢を、2回見た。

幼稚園児の時に1回、小学校低学年の時に1回である。

内容はほぼ同じで「応接間の隣に、ないはずの部屋がもう一つあって、そこに入る」という夢である。

 

 2回目の夢を見た次の日、飯を食っている親父に、夢の話をした。

 初めは親父も「ふーん……」と言って子供の戯言に付き合っている風だったが、僕が、その部屋の中のことを語るにつれ、次第に親父の顔が険しくなった。

 「それ、いつのことだ?」

 僕は、幼稚園児の時にも見たと言った。

 「そうか……」

 親父は神妙な顔つきをして言った。

 「よく覚えてたな。あの応接間の隣には、昔確かに部屋があった。内装も、その夢の通りだ。」

……と話していた。

 

 僕は夢の中で見た、その部屋の中にある「鳥の剥製」と「額縁に入った船の絵」のことを語ったのである。

親父は「よく覚えてたな」といった。

 しかし、あり得ないのである。

 よくよく調べると、その部屋が取り壊されたのは、僕が生まれる少し前の話である。

 僕がその部屋を見ているはずはない。

 

 祖母に、応接間の隣の部屋のことを訪ねてみると、不気味なことがもう一つ分かった。

 「ああ、あの部屋なあ……昔あそこにはな……」

 この話をして、親父が険しい顔をしたのは、ここに理由があるのかもしれない。

 

 

 

 

 

「あそこにはな……座敷牢があったんじゃよ……」

 

 なぜあんな夢を見たのかは分からないし、これと言って怪事は起きていない。

 しかし、それ以降、あの部屋に関する夢は全く見ていない。