RETRO少年の懐古録

ミステリー、ホラー、サイエンス、サスペンス、SF、怖い話……

【怖い話名作選】海外の怖い話23~33

No.23「グリフター」

その映像は、多くの人にトラウマを植え付けた。

タイトルは「グリフター」。

見た人を不快な気分にさせるため、悪意を込めて編集された動画によって、吐き気をもよおしたり、悪夢を見たり、自殺衝動にかられる人も少なくない。

ただし、「グリフター」の噂がネット上で広まるにつれて、フェイク映像も多く出回ったためで、今では、どれがオリジナルの「グリフター」なのかは定かでない。

でも、一つ君へのアドバイスを送るなら「グリフター」のタイトルが付けられた動画を、迂闊に再生しないことだ。

 

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No.24「最初の言葉」

私たち夫婦が最も楽しみにしていたのは「娘が最初に喋る言葉は何か?」という事です。

「ママ」か? それとも「パパ」なのか?

妻は毎晩、娘に「ママの可愛い宝物~」とオリジナルソングを歌いながら寝かしつけているので、よほど、最初に自分のことを呼んで欲しかったのでしょう。

ですが、私は自分が勝つと確信していました。

と言うのも、娘が最初に家へ来た時、妻がどんなに機嫌をとっても娘は火が付いたように泣き喚いていたのです。

妻には悪いですが、娘がお父さん子なのは明らかでした。

しかし、何事も思い通りにはなりません。

ある日のことです。

「ママよ」

「パパだよ」

「さあ、ママって言ってごらん」「パパは誰かな?」

娘を椅子に座らせ、私たち夫婦は最初の一言を引き出そうとしていました。

そして、私が娘の口を封じていた粘着テープを取った時のこと。

「どうか……お願いです……私をここから出してください……」

妻の顔から笑顔が消えました。

私は泣き叫び始めた娘の口を塞いで、照明も窓もない部屋へ放り込んで鍵をかけました。

妻の元へ戻ると彼女は泣き崩れていたので、私は抱きしめて言いました。

「大丈夫だよ……次の子は、きっと上手くいくよ」

 

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No.25「塀の穴」

職場の近くへ引っ越した男は、徒歩で通勤することにした。

通勤途中には、木の塀で囲われた精神病院があると不動産屋から聞かされていた。

ちょうど男が病院の前を通り過ぎようとした時、塀の向こう側で患者たちが声を揃えて、同じことを復唱していた。

「10、10、10、10、10……」

何か体操でもしてるのか?

気になるが、塀で囲われた病院の庭を覗くことは出来ない。

患者たちの復唱は毎日続いていた。

ある朝、男は病院の木の塀に小さな穴が開いているのを発見する。

罪悪感もあったが、好奇心に負けた男は庭の中を覗こうと穴に近づいた。

すると突然、塀の穴から先の尖った棒が突き出てきて、男の顔をかすめた。

「クソ!!!」

病院の庭で誰かが叫ぶ。

怖くなった男が、その場を立ち去ろうとすると、再び患者たちの声が聞こえてきた。

「11、11、11、11……」

 

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No.26「モリーとマロリー」

私と双子の妹マロリーは、他人なら見分けることが不可能なほど似ている。

外見上の唯一の大きな違いは、マロリーの腕には、子供の頃に日焼けしすぎて火傷してしまった時の痕が今でも残っていること。

私たち姉妹は、とても仲が良かったんだけど、マロリーがサムと付き合い始めて一緒にいる時間は減っていった。

2週間前、マロリーの外出中にサムがうちへやってきた。

「彼女は泊りがけでジェシカの家で勉強をしてるよ」と言う前に、サムは私にキスをした。

モリーはいないの?」

私は長袖を着ていたので、火傷の痕で見分けることも出来ないから、サムは私と妹を勘違いしていた。

でも、サムはイケメンだったし、男の子とキスをするのは初めてだったけど嫌な気はしないし……

だから私は悪いことを考えてしまったの。

「今日は私一人なの」

マロリーに成りきってみたけど、この判断は間違いだったのかもしれない。

「よかったな、最近モリーがムカつくって言ってたから気が楽だろ?」

意味がわからなかった。

ムカつく?

混乱する私に、再びサムは激しくキスをした。

口を塞がれながら、私は気がついた。

マロリーは私が欲しいものを全て持っていたこと……

翌朝、マロリーは疲れた顔で帰宅した。

「勉強は大変だったみたいだね、日曜なんだからゆっくり休みなさい」

「そうね、天気もいいしビーチで横になってくるよ」

「じゃあ、私の新しい日焼け止め貸してあげるよ」

マロリーに日焼け止めのボトルと錠剤を2つ差し出した。

「頭痛薬も飲んでおいたら?」

「本当にありがとう、じゃあ1時間くらい行ってくるね」

マロリーに日焼け止めを塗ってあげて、錠剤を飲み込むのを確認して玄関から見送った。

その日は、とてもよく晴れていた。

強い日差しのビーチで、マロリーはぐっすりと眠っていた。

私はマロリーに塗った日焼け止めを拭き取り、日光避けのパラソルを引き抜いて帰宅した。

日が沈んだころ、自宅にサムがやってきた。

「今日もモリーはいないの?」

「知らないわ」

私はサムにキスをしながら、足元に置いておいたガソリンの入ったポリタンクを蹴り倒してジッポに火をつけた。

 

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No.27「山での事故」

これは、かつて軍隊に所属していた男が、山道を走行中に事故を起こした時の話なんだ。

男からの通報を受けて警察が現場に到着したんだけど、車は全く無傷で道路の真ん中に停車していた。

運転していた男は、道路に横たわっていた男女をひいてしまったと必死に訴えたそうなんだ。

でも、現場には一滴の血液も落ちてないし、誰がどう見たって人身事故なんて起きてないんだよ。

その上、男はライトに照らされた草の茂みから、大勢の人が自分のことを見ていたと訴えた。

結局、事件性は無いと判断されて、男は車で立ち去ったんだけど……

この話を聞いた私は、全身に鳥肌が立つほどの恐怖を覚えたんだよ。

以前に同じような話を聞いたことがあってね、山岳地帯で暮らす人の中には、この男と同じような幻覚を見る人が稀にいるんだって。

結論を言うと、このような幻を見るのは「人間を食べたことのある人」か「頭のおかしくなった人」のどちらかなんだって……

 

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No.28「子守唄」

軽い昼寝から目を覚ました父親は、ベビーベットからの音声を確認する受信機を手に取り、仕事部屋へ向かった。

受信機からは、妻が我が子を寝かしつけようと歌う子守唄が聞こえてくる。

「眠れ~眠れ~」

彼には、母と子の微笑ましい光景が目に浮かんだ。

ちょうど玄関の前を横切る時、突然ドアが開いた。

そこには、買い物袋を抱えた妻が……

 

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No.29「信号無視」

 

午前1時。

自宅の暗いリビングでガイ・ハルバーソンはソファーに腰掛けたまま、かれこれ1時間以上も全く動くこと無く、その夜、自分が起こしてしまった事故について、頭のなかでグルグルと考えを巡らせていた。

信号は青から赤に変わったが、仕事で疲れていたし、早く家出くつろぐためだけに、止まること無くアクセルを踏み込んだ。

その時、彼は右目の視界の隅で何かが向かってくるのを確かに見た。

ただ、あまりにも一瞬の出来事で、思考が追いつく前に激しい衝撃で車体が揺れ、右側から突っ込んできたバイクは、ボンネットの上を横切って、すぐに視界の左端へ消えていった。

彼はパニックになって車を急発進させ、無我夢中で闇夜を走り抜けて気付けば自宅の前。

"どうして逃げ出したんだ……?"

犯罪とは無縁の人生を送ってきた彼の頭の中では、これまで築いてきた「キャリア」「家族」「希望に満ちた未来」が崩れ、逮捕され刑務所へ放り込まれる自分の姿を想像し、涙がこぼれた。

"優秀な弁護士を雇う金はある……今すぐ出頭するべきじゃないか?"

その時、玄関を誰かがノックした。

"今夜は誰とも会う予定はない……もう見つかったのか……"

身体は震えていた。

しかし、誤魔化しても問題は悪化するだけに思えたので、彼は覚悟を決め、震える足で玄関へ向かって歩き出した。

彼の想像通り、ドアを開けると警官が立っていた。

「ハルバーソンさんですか?」

「はい」

「大変恐縮ですが、悪い知らせがあります」

全身から汗が吹き出し、握った拳に力が入る。

「先程、あなたの息子さんがバイクに乗っていたところ車にひき逃げされてしまい、残念ながら、その場で即死でした。お悔やみ申し上げます」

 

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No.30「世界平和」

「もし本当に神がいるなら、どうして世界中で悪いことばかり起きるの?」

それは、よく聞かれる質問だ。

いいかい?

この世界は、絶妙なバランスで成り立っているんだ。

光と影、善と悪、騒音と静寂。

一方が欠ければ、もう一方も存在することは出来ないんだ。

「じゃあ、神様は悪魔と戦ってるの?」

もちろんだよ。

神は悪魔と戦っているよ。絶え間なくね。

私はダータリアンと言って、神に仕えている天使の一人。

世界中を移動しながら、悪魔を探し出して処分しているんだ。

君が耳を塞ぎたくなるような、悪いことをする怪物たちを粛清するのが私の仕事さ。

みんなが安心して眠れるのも、私のような天使が悪魔や怪物と戦っているからなんだ。

私の役目は……

近い将来、とても恐ろしくて卑劣な罪を犯す、生きるに値しない怪物の芽をつむことさ。

「でも、ダータリアンなんて天使の名前は聞いたことがないよ?」

当然だよ。

今、この世界でダータリアンの名前を知っているのは君だけだからね。

正確には知ってしまった……かな?

 

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No.31「写真の少女」

学校からの帰り道。

16歳のクレイグは歩道に1枚の写真が落ちているのを見つけた。

思わず拾ってしまった理由は、写真に写る少女が、あまりにも可愛かったからだ。

"ピースしている女の子は自分と同い年くらいかな?"

帰宅してからも、名前も知らない写真の少女について妄想している内に、クレイグはどうしても彼女に会ってみたくなった。

“もしかすると、意外と近所に住んでるのかも?”

クレイグは学校の同級生や家族に、写真の少女を知らないか聞いてみたが、手掛かりは無し。

"警察官をしている叔父なら、彼女を知ってるかもしれない”

クレイグは放課後に、叔父の勤務する警察署へ自転車で向かった。

しかし、信号の無い大通りを横切って近道しようとしたところ、乗用車にはねられ死亡してしまった。

彼の胸ポケットには、血痕の付いた少女の写真。

彼女のピースサインが3本指に変わっていたことには、誰も気づかなかった。

 

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No.32「子供はどこへ消えたのか?」

過去100年の間に、アメリカ国内の国立公園では1000人以上が姿を消しています。

全く足跡を残さず、忽然と、水が蒸発してしまったかのように、多く人の行方がわからなくなっているのです。

しかも特筆すべきなのは、国立公園内で姿を消した行方不明者の大半は10歳未満の子供なんです。

子供たちが、自らの意志で失踪する計画を立てるなんて考えられますか?

しかも、国立公園内は厳重に監視されていることでも知られているので、普通の森林などで姿を消すのとは訳が違います。

これだけ多くの子供が姿を消しているなら、当然、国の責任を問う抗議運動が起こりそうなもの。

ですが、抗議どころか子供たちの大量失踪問題は世間に全く知られていません。

理由の一つは、アメリカ国内に数ある国立公園で、これまでに何人の子供が姿を消したのかを正確にリサーチするのが難しいこと。

不確かな情報で国を訴えることは出来ないのです。

その上、失踪届が出されていないケースも含めれば、想定よりも更に被害者は増えてしまうでしょう。

かつて、この国立公園での児童失踪について調べていたジャーナリストは、調査結果を公にしないよう脅迫され、その後、自身も姿を消してしまったそうです。

もし、あなたが残りの人生を謳歌したいなら、アメリカの国立公園で子供が消える理由について、興味を持たない方が身のためです。

 

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No.33「肖像画

広大な森の中でハンターは何日も狩りを続けていた。

ある日、狩りに集中していると、いつの間にか日も落ちて暗くなり、気付けば自分が森の何処にいるのか、わからなくなってしまった。

ハンターは、ひたすら一方向へ進むことにして、自分の知っている場所にたどり着くまで歩き続けた。

数時間後、彼は見慣れぬ小屋を発見した。

夜を越すことが出来ないか、彼は慎重に小屋へ近づいた。

ドアは開いていて、中に人気はない。

ハンターは小屋の中の簡素なベッドで夜を明かし、もし家主がやって来たら事情を説明しようと決めた。

しかし、落ち着いて暗い部屋の中を見渡すと、壁には何枚かの肖像画が飾られていたことに気付く。

その絵の不気味さには手練のハンターも驚いた。

憎悪や悪意の感情だけで描かれたような、数枚の不気味な人物画が一斉に自分のことを睨みつけているような錯覚に陥った。

この小屋を出るべきじゃないか……?

迷ったが、疲れ果てていたハンターは壁の絵に背を向けて、不安を抱えつつも眠りについた。

翌朝、小屋の中に差し込む日光で目を覚ましたハンターは、声にならない叫び声を上げた。

昨晩、人物画が掛けられていると思った場所には、窓があるだけだった。

あの時、本当に自分は複数の人間に睨まれていた……

ハンターは小屋を飛び出し、無我夢中で森の中を走った。

 

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〇出典

bq-news.com