RETRO少年の懐古録

ミステリー、ホラー、サイエンス、サスペンス、SF、怖い話……

結論:過去へは戻れない

……

2022年9月30日

ずっと、タイムリープに心を燃やしてきた。

 

全ては、予期せず人生を棒に振ることになってしまった、忌まわしいあの出来事を未然に防ぐためだった。

 

それまでは、自殺して、この人生を捨て去ってしまうことしか考えられなかった。

 

親族ももういない。

親しい友人も作らなかった。

この人生に微塵も未練はない。

 

しかし、何の思い入れも後悔もないにも関わらず、死にたくても死に切れなかった。

気が弱いだけなのか、死んだのちの迷惑が心苦しいのか……

 

仕事の合間に自殺未遂を繰り返す、悲しい日々……

 

しかし、昨年の8月30日、タイムリープという人生の選択を発見する。

 

記憶はほぼそのままに、魂を過去に飛ばす。

 

生ける屍の私にとって、こんな理想的なものは無かった。

この記憶を持ってあの頃に飛ぶことが出来れば、あの出来事を防ぎ、人生を明るい方へ進めることが可能だった。

 

それから1年と1ヶ月、私は研究を繰り返して、タイムリープに勤しんだ。

勤しんだのだが……

 

短いようで長ったらしかった苦悩の末、つい昨日、分かってしまった。

分かっただけで、受け入れたつもりはない。

 

「過去は存在しない。戻ろうにも、存在しないのであるから、戻りようがない」

 

ふざけるな。

私は激怒した。

 

あの過去の出来事が元で、私は身を貶める結果となってしまった。

過去の出来事でありながらも、今なお現在にドス黒い影を落とす、最悪の事件。

今なお現在に影響を及ぼしているにも関わらず、過去が存在しないなどと何故言えるのだろうか?

 

現在は過去の積み重ねである。

選ぶ選択肢を間違えてしまうこともある。

取り返しのつかないことになることだってある。

 

だからこそ、タイムリープは存在しなくてはならないのではないか。

 

戻れないという事実が分かった。

だから何なのであろう。

 

戻った者がいないのなら、私が初めに戻る。

私は人類最初のタイムリーパーになればいい。

 

私がタイムリープの手段を確立する。